銀座ソレイユ主催の第19回トールペインティングコンテストは来場者の笑顔溢れる、素晴らしいコンテストとなりました。
1996年に第1回を迎えてからすでに23年もの年月が流れていますが、今もなお多くのトールペインターに親しんでいただいている、トールペイントの登竜門と呼ばれている由緒あるコンテストです。
応募いただいた作品を一つ一つをしっかりと拝見し、最終的に158点のノミネート作品を協賛各社の皆さまにもじっくりと見ていただきました。
各社賞を選ぶにあたって、協賛社の方にお話を伺いました。トールペイントへの熱い想いを語っていただきましたので、ペインターの皆さんにお届けしたいと思います。
技術力が高い作品ばかり。1作品だけを選ぶのは大変でした
優しい色使いの中にも、今から始まる冒険に胸をときめかせているクルーたちの元気な声が今にも聞こえてきそうで、僕もわくわくしました。
株式会社ツキネコの及川さんは、沢山の素晴らしい作品の中から1作品を選ぶことに随分と迷われたそうです。
年々技術のレベルが上がってきているため、選定は困難を極めます。決め手は自分の気持ちでした。 アドベンチャラスな作者の気持ちが伝わってきたこの作品が一番自分のフィーリングとマッチしたとのことです。
どなたの作品も丁寧に時間をかけて描かれていることが伝わります。次回2021年のトールペインティングコンテストを目標にして、もっともっとのめりこんでいってほしい、そうペインターを力強く激励されました。
株式会社ツキネコ
営業部課長 及川雅通 さん
透明感、ガラスへの反射。「光」が考えつくされている作品。
一目ぼれでした。水の透明感、銀色の小物への移り込み、光の反射…。全てがみずみずしく輝いていました。最初に見た印象で決めました。
今年初めて審査員として参加された浜口さんは、応募作品の技術力の高さに驚いたといいます。
審査する上でポイントになったのはオリジナリティ。技術力が高いが上に、配色や作品自体のアイデアが決め手になったとのことでした。
ブティック社
編集統括部 開発商品部 浜口健太さん
見えないはずの周りの風景が見え、静けさから「音」が聞こえた作品
静けさの中から、葉っぱのこすれ合う音が聞こえてきそう。キツネだけでなく、背景の表現が美しく素晴らしい。写真をここまで描写する技術力が圧巻。
今年初めて審査を担当された髙梨さんは、トールペイントの実物の迫力に圧倒された、そう開口一番におっしゃいました。
一つの作品を選ぶのにすごく迷われたとのことですが、 その中でもキツネの親子の一角を描いた作品から「さわさわ」と葉が風にそよぐ音が聞こえてきたり、描かれていない周りの風景が見えてきたこの作品に心を奪われたとのことです。
白光株式会社
髙梨真澄さん
私の五感に訴えてきた作品
野菜の組み合わせと色合いがいい。この作品には季節があり、私の五感に訴えてきた。
築根さんは、この作品をじっと見ているとドキドキするとおっしゃられました。感性に訴えかけてくるメッセージ性、コンテストが行われる「秋」にちなんだデザイン作りに着眼したアイディアを高く評価されたとのこと。
この作品は、技術力が高いと思います。でもそれだけではないのです。技術力は大切ですが、何よりも作品から伝わる温かみやメッセージ性が重要。始めたばかりの方でもメッセージが伝わってくる作品であれば受賞の可能性は高い、とにっこり笑ってトールペインターを激励されました。
一般社団法人 日本ホビー協会
専務理事 築根弘さん
独創的なデザインと色遊び。こんなトールペイントもいいですね。
小さな宇宙を感じます。見たことのないもの、新しい表現、独創性に惹かれました
点だけで表現しているこの作品の色使いが素晴らしいと、その独創性を高く評価された髙木さん。この作品を見て、オーロラを見た時のふわっとした気持ちになったとのこと。
全ての作品を通して技術は素晴らしいが、絵や素材が同じスタイルが多い。もっと素材を研究して、独創的な表現を生み出した作品を多く見てみたい。 画材を扱うホルベイン社ならではの視点でペインターを励ましていただきました。
ホルベイン画材株式会社
東京営業所顧問 髙木弘さん
楽しみながら描いている姿が目に浮かぶような作品
楽しみながら描かれた様子が伝わってきます。ステンドグラスのような加工もあったり、工夫がいっぱいで、見ていて楽しい気持ちになりました。
見た途端、「うわ~」楽しそう、そう思われたそうです。美しい作品が多い中、この「楽しそう」が他の作品から頭一つ抜きん出たポイントになったようです。
トールペイントの技法を必ず使わなければいけないと思っている人が多いですが、かしこまった作品でなくても、デザイン性、新しいことへのチャレンジが審査のポイントにもなる。誰でも受賞する可能性を持っています、そう言ってトールペイントを始めたばかりのペインターにもエールを送ってくださいました。
日本ヴォーグ社
キルンアートディビジョン編集室 霜島絢子さん
これからのトールペイントに求められるもの
受賞された皆さま、本当におめでとうございました。そしてコンテストに応募いただいた全てのペインターの皆さまにも銀座ソレイユは心から感謝いたします。
今回の全ノミネート作品を見ていただき、審査員の皆さんが言われたのは、作品の技術力の高さでした。ひとつひとつをじっくり見られた審査員の皆さまは、応募者が丁寧に時間をかけて一筆一筆描いた作品に感激していらっしゃいました。
そしてもう一点は、独創性の必要性でした。ここまで技術を学んでこられたペインターも、新しく始めたばかりのペインターも是非オリジナリティ溢れる作品にもどんどん挑戦してもらいたいとのことでした。
審査には技術を重視する審査員、独創性を重視する審査員、と重きを置くポイントが異なります。そして、審査員全員が「工夫次第でどなたでも受賞する可能性がある」と口を揃えます。銀座ソレイユ共々、皆さまの次の作品を楽しみにしています。
次回は第20回トールペインティングコンテスト(2021年)です。20回記念として、いままでにない素敵なコンテストを企画いたします。ホームページや銀座ソレイユのフェイスブックにてお知らせしていきますので、ぜひご参加ください。