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アッセンデルフト(Assendelft)は、オランダの首都アムステルダムから15kmほど北に位置するザーン地方の小さな街の名前に由来するペインティングです。

17〜18世紀、「白い職人」と呼ばれる人たちによって、値段の安いモミの白木の家具が作られました。その家具に装飾を施したのが農民たちでした。農民たちは長い冬の間、副収入を得るため、家具だけでなく、いろいろな白木の生活雑貨に絵付けをしました。これがアッセンデルフトの始まりです。

農民が描く作品は、副収入を得るためとは言え、それは素晴らしい芸術作品でした。しかしながら、モミの木は材質が柔らかいため、今ではほとんどのものが残っておらず、見ることができません。

衰退と復活

そして1800年中頃からヒンデローペンが盛んになり、次第にアッセンデルフトは姿を消していきます。

ほとんど忘れられていたアッセンデルフトを再び世に紹介したのは、今は亡きジャック・ザウデマ(Jacques Zuidema)氏です。

ジャック・ザウデマ氏は、これまで油絵の具で描かれていたものを、アクリル絵の具を用いて独自の技法で再生しました。

現在のオランダではその技術を継承する人が少なくなり、大変貴重な存在になっているそうです。

独自の魅力

アッセンデルフトの技法は、一筆に何色かの絵具をつけて、一気に描いてくものです。

微妙な色彩のグラデーションは、まるで花や葉に生命を与えるかのように生き生きと浮かび上がらせてくれ、華やかに演出してくれます。同じ人が同じ花を描いても、同じ形や同じ色合いにならないのもまた、魅力のひとつです。

簡単に描くことは出来ますが、知れば知るほど、微妙な筆使いや全体のバランスなど奥が深く、高度なテクニックが必要になってきます。

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